オタク日本画製作録

東方Projectの尤魔ちゃん&ちやりちゃん&オオワシ霊氏の絵と、久侘歌と愉快な仲間達の絵の製作録です。
未熟&独学ですしあまり細かい解説はしておりませんので(膠液の作り方、胡粉の溶き方など)、ご興味あれば別途調べてみて下さい。私は『はじめての日本画教室』(安原成美著)という本と『「無い」から始める日本画講座』(http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/mokuji.html)というサイトを参考にしています。

今回は絹地に岩絵具で着色します。製作期間は4日ですが、殆どが乾かす時間だったので実際作業したのは10時間ぐらいだと思います。

◎準備する物

•絹
•岩絵具
•水干絵具
•墨汁
•筆(下地用/線画用/着色用)
•膠
•胡粉
•絵皿
•澱粉のり
•明礬
•木枠

日本画材は売っている店舗が中々少ないのが現状の為、通販で買うのが手軽ではありますが、特に岩絵具はずらりと並んでいる風景が美しいので一度は店頭に足を運んで頂きたい。水干絵具は下地用です。
膠(動物の骨などから造られた接着剤)も様々な種類がありますが、播州人なのを考慮し播州粒膠を採用します。
木枠や澱粉のりは簡単に作れます。明礬は漬物用としてよく売られています。絵皿は100円ショップなどのもので大丈夫(耐熱だと良)。墨汁は小学生時代の遺物を使用しています。
写真手前の緑の鳥は世界で一番可愛い水差しです。尚、水差しはあると便利ですが別に必須では無いと思います。

作業環境です。膠液を加熱出来るものが近くにあれば便利です。
冬は膠液がすぐ固まったりでちょっと厳しいです。

①木枠に絹を張る

木枠に澱粉のりで絹地を張ります。張らずに描くと多分絹がよれよれになります。

②礬水引き


薄めの膠液に明礬を極少量入れたものを礬水と言います。滲み止めです。

③下絵の準備

木枠をこの大きさにしたはいいものの、細長くしたいので二枚並べて描きます。鶏達はふわふわ漂っているだけであり、一切の危険性はございません。
余談ですが、下絵を描き終わった段階で二ヶ月程ほったらかしていた所ちやりちゃんが新登場してしまい、後から付け足したので少し構図に無理が出ました。でも息が合ってなさそうなのもいいですね。

④骨描き

後から修正しようと思えば出来るのですが、全作業工程の中で一番魂を消費します。
線が乾ききらないまま次の下地塗りをすると滲んで悲しいことになる為(一敗)、三時間以上は置きます。

⑤下地塗り

胡粉を全面に塗ります。塗りムラとかはあまり気にしません。胡粉は塗ってる時と乾いた時の発色が面白いぐらい違うので、塗りすぎると骨描きが消えます。

水干絵具と膠液を混ぜて背景色も付けておきます。

⑥着色


先に白系の色にしたい場所に胡粉を塗っておきます。肌の塗りムラぐらいは気にしたい所ですが、あまり上手くいきません。
濃淡を出したい場合、乾かしては塗りの繰り返しなので結構時間がかかります。

岩絵具を膠と合わせて塗っていきます。岩絵具、その名の通り岩を砕いて作ったもので、細かく砕いたものから粗めに砕いたもので各色ごとに十段階以上あり、発色や塗り具合が違います。粒子が粗いものは濃いめの綺麗な色ですが、とっても塗りにくいです…。細かいものばかり買ってしまいます。
また、この粒子の大きさが少しでも違うとうまく混ざらない為、岩絵具は基本的には絵皿上での混色が出来ません。色を合わせたいときは重ね塗りです。
今回は計9色使用しました。

ある程度塗り終わりました。


細かい所をなんとかします。

落款してほぼ完成!
九月に描きましたが、十月の即売会で展示したいので十月表記にしています。
印は頑張って彫りました。

大きな失敗もなく良い感じに描けたと思います!

澱粉のりは湿らせると粘着力が無くなるので、霧吹きをして剥がしてから半分に切り分けます。絵自体は一旦乾いてしまえば水に濡れても全く問題ありません。

枠から外すとよれよれになりますが、裏地に薄い紙を張る裏打ちという作業をするとなんとかなります。
今回は表具屋さんに軸装して頂くので、裏打ち以降の作業はお任せします。

⑦軸装

表具屋さんで軸装してもらって本格的に完成です。軸装は基本的には一ヶ月程かかるのかな?
物凄く見映えが良くなります!
実際に布と絵を合わせながら、かなり自由に色や模様、素材を選べるので装丁好きにとっては中々楽しいですね。慣れてきたら描表装というのもしてみたいものです。

長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。少しでも興味を抱いて頂けたなら幸いです!
(2023/10)

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